「みんなにちょうどいい」写真シェアシステムができるまで
取材・執筆:G. Y. Vision, LLC ビンセント結弓
「おうちの人にも、先生たちにも、みんなにちょうどいい」を叶える簡単・安心・低価格の写真シェアシステム「DEKIGOTO」(トップページにリンク)。本システムの生みの親で株式会社DEKIGOTO代表の鈴木敦子さんにお話しを伺いました

写真とのかかわりは、中学時代の「記録係」から
ビンセント(以下、ビン):株式会社DEKIGOTOは、家族向けの写真共有アプリ「EFIL」や園向け卒業アルバムの制作、家族向け・ペット向けのプロ撮影会など、日々の家族のデキゴトを記録し保存することの大切さを発信していらっしゃいますが、「写真」と関わるようになったきっかけは何でしたか?
鈴木敦子(以下、鈴木): 遡ると、そのルーツは私の中学生時代、クラスの「記録係」になって「使い捨てカメラ」で写真をたくさん撮るようになったところからです。
ビンセント:懐かしい!とつい言ってしまいましたが、1986年発売のF社の「使い捨てカメラ」が30年の時を経て若い世代にリバイバルしていましたよね。
鈴木: そうなんですよ、私も久しぶりに見つけた時は速攻で買いました (笑) 上手く撮れたかどうか、現像を待つ間のドキドキ、ワクワク感と、写真を見ての一喜一憂は変わらないですね。
写真が教えてくれた、自己肯定感
鈴木:当時は単純に写真が楽しいという感覚でしたけど、大人になって振り返ってみると、あれは一種の“自己肯定”だったんだなと気づきました。中学生という多感な時期だからこそ「こんなにたくさんの友だちに囲まれている」とか、「大変だったけど、めちゃくちゃ楽しかったなぁ」とか、そこに写った自分を客観的に見ることで、認めることができたというか。
ビン:たしかに昔のアルバムをめくっていると、不思議と楽しかったことばかり思い出します。記憶にないくらい幼かった頃の写真でも、撮って残してもらったことが純粋に嬉しいですし、ポジティブな気持ちになれる気がします。
写真の魅力は、想像力を掻き立てる余白
鈴木:実は私のこれまでのキャリアの中では、動画を作る仕事をしていた時期もあって、写真一辺倒ではありません。動画が「時間の経過の記録」であるのに対して、写真は「瞬間の記録」。もちろん、どちらの良さもあるんですが、私が思う写真の良さは、人間の「想像力」を搔き立てる余白が多いところなんです。余白があるから、自己肯定感が生まれるのだとも思うし、DEKIGOTOのシステムコンセプト=「写真をまんなかに、こども・おうちの人・園や先生の気持ちがつながる、まわる」はこの余白があるからこそだと思っています。

ビン:園から帰宅したこどもに「今日どうだった?」と聞いても、こどももまだ上手く説明できなくて「???」でその日が終了、数か月後に園に張り出された写真を見て「あぁ、このことだったのか!」と理解するなんてことも我が家ではよくありましたね。昨日今日のことがDEKIGOTOを通してすぐに見られたら、「???」の部分を想像力で補完して、こどもとの会話ももっと広がるでしょうね。
小規模園にこそ届いてほしいDEKIGOTO
ビン:DEKIGOTOは、お子さんの数が100人までの園や施設、習い事教室に限定したシステムとして開発されていますよね。これには何か理由があるのでしょうか?
鈴木:私自身、仕事ではこれまで全国各地の保育園・幼稚園などトータル300施設と関わってきていて、一方でこども3人の母親なので保護者として園との関わりもあります。そういった経験の中で感じたのは、大規模園と小・中規模園を比較すると活用できるリソースに格差が生じがちだという点です。例えば大規模園であれば、プロのカメラマンさんに行事の度に撮影に来てもらっても予算的に成り立ちますが、小・中規模園だと金銭的な折り合いが付きにくかったりします。
ビン:プロのカメラマンさんに撮影を頼めない場合、先生や職員さんが本来のお仕事の片手間に写真撮影するしかないですよね。
鈴木:そうなんです。規模が小さいゆえに、色々な大人の事情で写真が少なくなってしまったとしても、思い出になる出来事自体が少ないわけではないんです。こういった不平等を何とか無くせないだろうか?というところが、DEKIGOTOシステム開発の出発点です。とことんシンプルに、とことん簡単に、みんなが使いやすいようにこだわりました。こだわり過ぎて、開発開始から3年もかかってしまったんです(笑)
ビン: みんなの手間を“削ぎ落とす”ことへのこだわりなんですね!
鈴木:元々は保育園・幼稚園向けのサービスとして開発しましたが、習い事やPTA活動、フリースクール、部活・サークルなど、活用範囲は幅広いと考えています。写真販売の売上は団体の運営資金にもお役立ていただける設計にしてあるところも一つのポイントですね。
大阪府出身。同志社大学卒業後、新卒で2004年株式会社USENに入社。光ファイバー営業で全国1位を獲得。GyaO!事業部の立ち上げに伴い異動し、念願だったバラエティー番組プロデュースを行う。出産を機にUSENを退社し、2011年リンクエイジ株式会社に入社。写真編集やデザインの責任者を経て、2017年に取締役に就任。2019年株式会社DEKIGOTO設立。ライフログアプリEFILの企画運営、ペット撮影会、デザイン・動画制作などプロデュース業務全般に携わる3児の母。